ワット・アルンは、10バーツ硬貨に描かれているあの寺院です。中国の陶磁器で装飾された仏塔が夕陽に染まってアンバー色に輝く、バンコクを特集するトラベル誌が必ず表紙に使うあの寺院。市内でもっとも撮影されている寺院で、その評判にも納得です。東南アジアで、ここまで独特な姿をした建築は他にありません。
ただ、バンコクでトップクラスの混雑スポットでもあるので、あのポスターみたいな写真を撮るには、ちょっとした計画が必要です。時間帯を間違えると、10秒のシャッターチャンスのために20分人混みをかき分けることになります。タイミングさえ合わせれば、まるで自分だけが見つけた秘密の寺院のような写真が撮れますよ。

ワット・アルンとはどんな寺院か
ワット・アルン・ラチャワララーム — 暁の寺 — は、チャオプラヤー川のトンブリー側に位置し、王宮とワット・ポーの対岸に建っています。「暁の寺」の名前はヒンドゥー教の日の出を司る神アルナに由来するもので、訪問すべき時間帯を指しているわけではありません(ただ、実際は夕陽の時間帯がいちばん美しく見えます)。
中央の仏塔 — プラーン — は高さ82メートル。何百万もの中国陶磁器の破片と貝殻で覆われていて、光を受けると繊細なモザイクがきらめきます。現在の建築はほぼ1800年代初頭のもので、ラーマ2世の治世に着工され、ラーマ3世の時代に完成しました。使われている陶磁器は、当時バンコクに来航していた中国の貿易船のバラスト(船底の重し)。今も近くで見ると分かるほど、エレガントな再利用です。
ここは単なるモニュメントではなく、現役の寺院です。僧侶が実際に住んで祈りを捧げていて、早朝にはお経の声が聞こえます。ドレスコードもしっかり守らないといけません。
いつ行くべきか(これが一番大事な問題)
ベストな時間帯:16:30〜日没(季節によって18:30頃)
午後遅くの光が陶磁器を輝かせます。正午ピークの混雑も引いています。日没まで残れば川を渡って対岸のリバーサイドバーへ移動して、ライトアップされたプラーンを眺めることもできます。
誰も写り込まない写真が欲しいなら:8:00〜8:30
寺院は朝8時オープン。最初の30分は、境内でほぼ一人きりになれます。観光バスはまだ到着していません。光は夕陽より少し柔らかくて平らな感じですが、「知られざる寺院を見つけた」風の写真を撮りたいなら、この時間帯です。
最悪の時間帯:10時〜14時
真昼の暑さ(暑季は35℃超)とツアーバスの到着が重なるいちばん辛い時間帯。中央仏塔の周辺はどこも写真ポーズの人だらけ。登ってるというより行列してる感じです。避けましょう。
日没そのもの:美しいけど混雑
実際の日没の瞬間(季節により17:45〜18:45)は、カメラマンとロマンチックな旅行客で埋まります。それでも体験する価値はありますが、20〜30分前には場所取りに入ることをおすすめします。
アクセス方法
リバーボート(一番のおすすめ)
一番絵になるのは、ワット・ポーのすぐ隣にあるター・ティアン船着場から渡し船で向かうルート。5〜10分おきに運行、料金5バーツ、片道3分かからずに対岸に着きます。水の向こうに寺院がだんだん大きく迫ってくる光景 — バンコクが本来見られるべき姿です。
もっと遠くから来るなら、チャオプラヤー・エクスプレスボートが複数の上流船着場からター・ティアンに停まります。サトーンやシーロムから向かうなら、タクシーよりこっちの方が確実です。
BTS+タクシー
BTSサパーンタクシンまで行って、そこからワット・アルンまでタクシーで直行(渋滞含め約25分、120〜150バーツ)。もしくは、サトーン船着場(セントラルピア)からエクスプレスボートでター・ティアンに行き、渡し船に乗り換える方法も。
MRT
MRTサナーム・チャイ駅から、ター・ティアン船着場まで徒歩約10分。スクンビットから来る場合はこれが一番スムーズです。MRTスクンビット→MRTサナーム・チャイ→徒歩でター・ティアン→渡し船、という流れ。
Grabはあてにしない
寺院地区周辺の渋滞はえげつないです。地図で15分に見える距離が、午後は45分かかることもザラ。川は速いし安いし、何より面白いです。
仏塔の登拝(注意点はあるけど体験する価値あり)
中央のプラーンは2段階で登れるようになっています。下のテラスは比較的なだらかな階段。上のレベルは、階段というよりほぼハシゴのような急な石段です。
下のテラス:ほぼ全員がここまでは登ります。川と対岸の王宮エリアがパノラマで見渡せます。アクセスは簡単。
上のレベル(ほとんどの期間は立入禁止):最近のアップデートで、上部は安全と保存のため通常立入禁止になっています。上まで登れると思い込まないでください。何十年も登れていましたが、数年前から制限されています。到着時にチケット窓口で確認を。
登拝のドレスコード
膝下まで脚を覆う服装が必須です。ショーツの場合、入口でサロン(腰布)をレンタルできます(30バーツ)か、デポジットで借りられます(100バーツ返金式)。肩も覆う必要があります。
撮るべき写真
定番ショット:川の対岸、ター・ティアン船着場エリアから西向きに、日没時。夕焼けを背にプラーンがシルエットになります。この眺めのために専用デッキを備えたリバーサイドバーやレストランもいくつかあります。Eagle Nest(Sala Rattanakosin内)、Sala Arunルーフトップ、The Deck(Arun Residence)が定番。ドリンク1杯で300〜500バーツ。
陶磁器のディテール:近くで見る陶磁器モザイクは本当に見事です。花柄や神像のマクロショットは、毎日何千人も撮っている広角の寺院写真よりずっと面白い一枚になります。
川からのアプローチ:渡し船の船内から、寺院が徐々に大きくなる様子を。接岸直前にシャッターを切りましょう。
庭側:ほとんどの訪問者はプラーンに集中していて、他のエリアはスルーしています。裏手の小さな仏塔、本堂の仏像、川沿いの遊歩道など、静かな撮影チャンスが残っています。
実用情報
入場料:外国人100バーツ。入口で現金払い。 開館時間:8:00〜18:00、毎日。 ドレスコード:肩と膝下を覆う服装。プラーンの登拝エリアでは厳格、他は比較的ゆるめですが守った方が無難。 本堂で靴を脱ぐ:タイの現役寺院では標準ルール。脱ぎやすいサンダルが時短になります。 トイレ:メイン入口とチケット売り場付近にあります。状態はイマイチ。川を渡る前に計画的に。 現金のみ:チケット窓口でも露店でもカードは使えません。

半日プラン(寺院地区+ワット・アルン)
ワット・アルンをメインに据えるなら、周辺の寺院と組み合わせた半日プランがおすすめです。
8:00 — 開門と同時にワット・アルン着。ほぼ貸切状態で45分ほど散策。 9:00 — ター・ティアンへ渡し船(5バーツ)。 9:15 — 隣のワット・ポーへ。涅槃仏を見学。オプションでワット・ポー附属のマッサージスクールで伝統マッサージも。 11:30 — 徒歩10分で王宮へ。(ドレスコードはワット・アルンと同じ。事前に要確認。) 14:00 — ランチ休憩。おすすめはター・ティアン市場の屋台か、川沿い遊歩道のレストラン。 16:30 — ター・ティアン船着場に戻り、渡し船でワット・アルンへ。夕陽を待ちます。 17:45 — ワット・アルン、またはバンコク側リバーサイドバーから日没を鑑賞。
この流れなら、朝の貸切タイムと夕陽のベストライト、両方押さえられます。寺院を2回見ることになります — 一度は境内で、もう一度は川の向こうから最高の光の中で。
避けるべきこと
王宮周辺のトゥクトゥク詐欺:ドライバーが「ワット・アルンは今日休みだから、代わりに〇〇テーラーショップに行こう」と言ってくるパターン。これはよくある詐欺です。川まで歩いてフェリーに乗りましょう。寺院地区から連れ出そうとするトゥクトゥクには絶対ついていかないこと。
割高なリバーツアー:王宮側には「チャオプラヤー・ツアー」を一人500〜800バーツで売ってくる販売員がいます。ワット・アルンへの移動だけなら、渡し船(5バーツ)で同じことができます。まともな川ルートはチャオプラヤー川ガイドをどうぞ。
寺院内で「お守りを販売する僧侶」:本物の僧侶は物を売りません。商品を持って近づいてくる人間は、僧侶ではないです。
日焼け止め忘れ:境内は日陰が少なく、日差しをまともに浴びます。暑季なら30分で火傷ものに焼けるので、塗っておきましょう。
日没撮影スポット(バンコク側)
ワット・アルンが夕陽に染まる定番写真を撮るなら、川の対岸から西向きがベスト。安い順に紹介します。
- ター・ティアン船着場そのもの — 無料。実用的。他のカメラマンやフェリー行き来の中で撮影。
- The Deck at Arun Residence — 寺院の真正面にプラットフォームがあるレストラン。上質なメニュー(一人800〜1,500バーツ)。日没は要予約。
- Sala Rattanakosinルーフトップ — Eagle Nestバーを擁するブティックホテル。カクテル400バーツ〜。眺めは文句なし。
- Sala Arunルーフトップ — 姉妹ホテルのSala Rattanakosinよりやや穴場。同じ川、同じ寺院ビュー。
バンコクの他の観光と組み合わせる
ワット・アルン+ワット・ポー+王宮の半日プランは、バンコク初訪問の定番寺院ツアーです。その後の選択肢は:
- リバークルーズを続ける — チャオプラヤー川ガイドでベストルートをチェック。
- チャイナタウンでディナー — 水上タクシーかMRTでヤワラートへ。屋台ディナー。
- 眺めの良いルーフトップカクテル — バンコクのルーフトップバーには、川と寺院の夕景が見えるスポットがいくつかあります。
おわりに
ワット・アルンは、表紙級の評判に恥じない寺院です。コツはタイミング — 人のいない早朝、ゴールデンアワーの午後遅く、対岸から見る日没の一枚。観光バスと一緒に昼過ぎに行ったら、「何が特別なの?」と首をかしげて帰ることになります。
この寺院は、バンコクの大きな一日を組み立てる際のアンカーにもなります。ワット・ポーの涅槃仏、王宮、チャオプラヤー川クルーズと組み合わせれば、東南アジア屈指の記憶に残る一日が入場料1,000バーツ以下で体験できます。移動計画はバンコク交通ガイドを参照。初訪問者の基本セットはバンコク両替&SIMカードガイドとチップガイドをお読みになってから出発を。


