バンコクに着いて30分以内に必要なもの、それはお金とデータ通信です。この2つで失敗すると、旅行中ずっと余計な出費を垂れ流すことになります。逆にうまくやれば、空港を出る前に数百バーツ節約できます。
ここではタイでのお金と通信について、無駄のない攻略法をまとめます。

お金:両替レートの戦い
空港の両替所はトラップ
スワンナプーム(สุวรรณภูมิ)空港の到着ロビーにある両替ブースは、市内の優良両替所に比べて5〜10%悪いレートで交換されます。
数字で見てみましょう。よくある日の相場では空港が1ドル=32.5バーツ、市内のSuperRichが34.8バーツ。$500を両替するだけで1,150バーツの差が出ます。これ、食事3〜4回分+マッサージ1回+ビール数本に相当します。2週間の旅で$2,000両替する計算なら、差はさらに大きくなります。
WARNING
空港の両替所は市内より5〜10%悪いレート。$500の両替で1,150バーツ、2週間$2,000換算なら差はその4倍以上になります。
正解:空港では最低限だけ両替する。฿1,500〜3,000(タクシー代、SIMカード、最初の食事分)でOK。残りは市内で。
ホテルデスクもスキップ
「ホテルのフロントで両替できますか?」と思った方、ちょっと待ってください。ホテルの両替デスクは空港よりわずかにレートが良い程度で、SuperRichやVasuには全然及びません。緊急で現金が必要な深夜以外は使う理由がないです。
市内のおすすめ両替所
SuperRich(緑の店舗とオレンジの店舗あり) — タイ両替界の王者。バンコクで最もレートが良いと評判です。プラトゥーナム(旗艦店)、サイアム、アソーク(อโศก)、シーロム(สีลม)に複数店舗あり。行く前にウェブサイトでレートを確認するのがおすすめ。
Vasu Exchange — SuperRichの強力なライバル。通貨によってはこちらのほうがレートが良い場合も。スクンビット(สุขุมวิท)・ソイ7にあります。
K79 Exchange — レートが良くて、SuperRichほど混んでない穴場。複数店舗あり。
持っていくべきお札:きれいで傷みのない紙幣を持参してください。折れ目は問題ないけど、破れたり汚れがひどい紙幣は拒否されます。USドルの$100札が最もレートが良いです。$20や$50の小額紙幣はレートが若干落ちます。

ATM:฿220手数料のワナ
IMPORTANT
タイのATMは外国カードの引き出しに1回220バーツの手数料がかかります(自分の銀行手数料は別途)。1回に大きい金額を引き出して、取引回数あたりの影響を最小限に。
タイのATMは外国カードで引き出すたびに**฿220(約900円)の手数料**が発生します。これに加えて自分の銀行の海外引き出し手数料もかかる。どの銀行のATMでも一律です。
ダメージを最小限にする方法:
- 大きい金額をまとめて引き出す(฿10,000〜20,000)。少額を何回も引き出すと手数料地獄になります
- AEON ATM(イオンの店舗やモール内にある)は฿220の手数料が免除される場合あり。見つけたら試す価値あり
- できるだけ両替所を使ってATMを避ける。両替なら取引手数料がかからないです
- Wise / Revolutカード:これらのフィンテックカードは従来の銀行カードよりレートが良く手数料も安いことが多い。出発前にセットアップしておくのがおすすめ
DCC(動的通貨変換)の罠
WARNING
ATMの画面に「Accept conversion?」「Proceed in your home currency?(日本円で支払いますか?)」と表示されたら、必ずNOを選んでください。これがDynamic Currency Conversion(DCC)という罠で、ATM側が円に換算してくれる代わりに3〜5%悪いレートを上乗せしてきます。常にバーツで引き出して、換算は自分の銀行に任せましょう。
Schwab(チャールズ・シュワブ)デビットカードは米国限定ですが、全世界のATM手数料を全額払い戻してくれるゴールドスタンダード。アメリカ在住の友人がいたら羨ましいと伝えておいてください。

クレジットカード:使える場所・現金必須の場所
バンコクは「現金ファースト」の街です。カードが使えるかどうかは場所によってかなり違います。
カードが使える場所:
- 大型ショッピングモール(サイアム・パラゴン、セントラルワールドなど)
- ホテル系レストラン・バー
- 観光地のテーブル席レストラン
- 高級バー
- コンビニ(セブンイレブンはコンタクトレス決済対応)
- チェーン系飲食店
現金必須の場所:
- 屋台・マーケット全般(ほぼ現金のみ)
- タクシー・トゥクトゥク(Grab/Boltでカード払いに置き換えるのが◎)
- 家族経営の食堂・麺屋
- 寺院(拝観料・お布施)
- ナイトマーケット、洗濯屋、ほぼすべての小規模店
VisaとMastercardは広く使えます。Amexは場所によりけりなので予備として持っておく程度でOK。
1日あたり現金の目安
旅のスタイルによって必要な現金は全然違います。現実的な目安がこちら:
| 旅スタイル | 1日の現金(バーツ) | 何がカバーできるか |
|---|---|---|
| Budget(節約) | 1,500〜2,500 | 屋台飯、BTS/MRT、アクティビティ1つ |
| Comfortable(普通) | 3,000〜5,000 | 屋台+レストランミックス、Grab移動、アクティビティ1〜2つ |
| Living well(ゆとり) | 5,000〜10,000 | レストラン外食、ショッピング、スパ、ナイトライフ |
日常の支出に加えて1,000〜2,000バーツの予備を持っておくと安心。路地の屋台でカードが使えないのに最高のマンゴスティッキーライスを見つけたとき、現金がないと泣きを見ます。
小額紙幣の話
タイのATMは1,000バーツ札で出てきます。そのままだと屋台やタクシーで釣り銭トラブルになりがち。崩し方は簡単で、セブンイレブンで水を1本買うだけ。ホテルのフロントや大きめのレストランでも両替してもらえます。
100バーツ・50バーツ・20バーツを常にいくらか手元に持っておくと、屋台での会計がスムーズです。チップの相場を知っておくと、どの紙幣を手元に残すべきかの判断にも役立ちます。

SIMカード:空港で即ゲットすべし
SIMがないと使えなくなるアプリ5つ
TIP
SIMは空港で買うこと。Grab、Googleマップ、Google翻訳にはすぐデータが必要です。市内より50〜100バーツ高くても、その便利さの価値は十分あります。
データ通信なしでバンコクを移動するのは、地図なしで迷路に入るようなもの。具体的に何が使えなくなるか:
- Grab / Bolt — 配車アプリがなければタクシーとの料金交渉か、ぼったくりリスクと戦うことになります
- Google マップ — BTSの乗り換え、ソイの番号、最寄り出口の確認に必須
- Google 翻訳(カメラモード) — タイ語のメニューや看板をカメラで読み取って翻訳。これがあればタイ語サバイバルの助けになります
- Line(ライン) — タイの国民的メッセンジャー。ホテル、ツアー会社、レストランもみんなLine使います
- Grab Food / Foodpanda — ホテルから出たくない夜のデリバリーに
ホテルのWiFiは部屋にいる間は十分。一歩外に出た瞬間から、データがないと詰みます。
eSIM:カウンターに並ばない選択
eSIM対応スマホ(iPhone XS以降、最近のAndroidフラグシップ)なら、フライト前にオンラインで購入・アクティベートできます。空港カウンターに並ぶ必要なし、パスポート写真も不要です。
タイで使えるおすすめeSIMの具体的なプラン:
Airalo Thailand「Thai-landee」プラン
- 1GB / 7日間:約$5
- 5GB / 30日間:約$16
- AISネットワーク使用(離島や北部まで全国カバレッジ最強)
- データのみ(タイ電話番号なし)。LINEやiMessage、WhatsAppで連絡するなら問題なし
- 無制限プラン:$6/日〜$87/30日
- 割高だけど本当に無制限(速度制限なし)
- ヘビーユーザーや写真・動画をアップするコンテンツクリエイターにおすすめ
eSIM vs 物理SIMの選び方
どちらが自分に合うか迷ったら、この基準で選んでください:
eSIMが有利な場合:
- 短期旅行(1〜2週間)
- 母国の電話番号を2FA用にアクティブにしておきたい
- 空港カウンターをスキップしたい
物理SIMが有利な場合:
- 1ヶ月以上の滞在(ローカル大容量プランのGB単価が安くなる)
- タイの電話番号が必要(現金払いのGrab、ツアー会社からの電話)
- eSIM非対応のスマホを使っている
3大キャリアの詳細
| キャリア | 特徴 | ベストなシーン | ツーリストSIM(15日)相場 |
|---|---|---|---|
| AIS | 全国カバレッジ最強 | 離島・北部含む全国旅 | ฿299〜599 |
| True Move H | 都市部に強い、旅行者人気No.1 | バンコク中心の滞在 | ฿299〜499 |
| DTAC(True合併済み) | 都市部良好 | 予算重視 | ฿199〜399 |
AIS(エーアイエス) は全国カバレッジが最強。離島、北部のチェンマイ(เชียงใหม่)やパーイ(ปาย)に行くなら迷わずAIS一択です。
True Move H は旅行者に最も人気。空港でのマーケティングが充実していて、ツーリストパッケージも豊富。バンコクと主要観光地ならカバレッジも申し分ないです。
DTAC(ディーテック) は2023年にTrueと合併。新しいツーリストSIMは徐々にTrueブランドに統合されています。バンコクのみなら3キャリアどれもほぼ同じ品質です。
空港 vs セブンイレブン:どちらで買う?
空港カウンター(おすすめ):
- スワンナプームもドンムアン(ดอนเมือง)も到着ロビーに24時間営業のカウンターあり
- 英語対応スタッフがSIM挿入からAPN設定まで全部やってくれる
- 5分以内に完了、出て即データ使用可能
- セブンイレブンより50〜100バーツ高いが、最初のGrab配車まで繋がれている価値は十分
セブンイレブン:
- 少し安い
- 英語サポートはスタッフによってばらつきあり
- APN設定を自分でやる必要がある場合も
- 旅慣れた人や旅行途中で交換したい場合に向き
IMPORTANT
どちらで買うにもパスポートが必須です。タイの法律でSIMの実名登録が義務づけられています。空港なら約5分、セブンイレブンなら2分程度。

ツーリストSIMの中身
一般的なツーリストSIM(฿299)に入っているもの:
- 高速データ:大抵は「無制限」と書いてあるけど、実態は6〜15GBの高速データ後に速度制限が入ります。制限後も使えないわけじゃなくて、ちょっと遅くなる感じ
- 有効期間:15〜30日
- 通話クレジット:100バーツ程度(緊急時用。普段はLineで済みます)
速度制限(Throttling)について: 「無制限」と謳っていても、高速データの上限に達すると速度が落ちる仕組みがほとんどです。動画ストリーミングは厳しくなりますが、地図・チャット・乗り換え確認くらいなら問題なく使えます。
データが切れたらチャージ方法
データを使い切ったら、最寄りのセブンイレブンへ。電話番号を伝えて100〜200バーツのチャージを頼むだけ。数日間のフルスピード復活です。
アプリからも簡単にできます:
- myAIS アプリ
- True iService アプリ

着陸後1時間の完璧な動線
両替とSIMを組み合わせた、空港到着からホテルチェックインまでの最短ルート:
- 入国審査を通過。スワンナプームは混み具合によって20〜60分かかることも。空港ガイドが参考になります
- 荷物を受け取って税関を通過
- まずSIMカウンターへ。到着ロビーのAISかTrueのブースへ。15日間のツーリストSIMを購入。スタッフが設定してくれて5分でオンライン
- 少額だけ両替。一番近い空港の両替カウンターで3,000〜5,000バーツ分だけ。タクシー代・夕食代・緊急分です。全額替えない
- Grabで配車を予約。データが使えるようになったのでGrabとBoltを開いて(出発前にダウンロード済みのはず)、安いほうで予約
- 翌日:本命の両替。市内のSuperRichかVasuへ。空港より5〜10%良いレートで残りを全額両替
これだけ。繋がって、お金を持って、移動できる状態で街に入れます。

クイックリファレンス
| 項目 | 場所 | コスト | ワンポイント |
|---|---|---|---|
| 空港の両替 | 到着ロビー | レート悪い(−5〜10%) | 最低限だけ |
| ホテルの両替 | フロントデスク | 空港より少しマシ | 基本スキップ |
| 市内の両替 | SuperRich、Vasu、K79 | 最良レート | きれいなUS$100札を持参 |
| ATM引き出し | どのATMでも | ฿220手数料+銀行手数料 | ฿10,000以上をまとめて |
| ツーリストSIM | 空港ブース | ฿299〜599 | AIS推奨 |
| eSIM | オンライン(Airalo等) | $5〜16 | フライト前に購入 |
よくある失敗
空港で全額両替してしまう。 一瞬で5〜10%損します。最低限だけ替えて、SuperRichへ。
ATMで小額を何度も引き出す。 ฿220 × 5回 = ฿1,100が手数料に消える。1回で大きく引き出すのが正解。
ATMでDCCを承認してしまう。 「日本円で支払いますか?」と聞かれたら必ずNO。3〜5%余計に取られます。
USドルを持ってこない。 タイの両替所はUSドルが最もレートが良いです。自国通貨がUSDじゃない場合、一度USDに替えてからバーツにする二段階両替のほうが得になることもあります。ただし手数料を計算してから判断を。
銀行に海外渡航の連絡を忘れる。 まだ海外取引をブロックする銀行もあります。出発前にアプリか電話で一報入れておかないと、一番困るタイミングでカードが止まります。

よくある質問
ドルと自国通貨どちらを持ち込むべき?
タイの両替所ではUSドル($100札)が最もレートが良いです。次いでユーロ、英ポンド、日本円の順。日本円でも直接バーツに換算できますが、ドル経由のほうがレートが有利なことが多いです。両替手数料を考慮した上で計算するのがベスト。いずれにせよ、きれいで破れていない紙幣を持参してください。
バンコクで現金を持ち歩いて安全?
バンコクは主要都市の中でも治安が良いほうです。旅行者を狙った暴力犯罪はかなりまれ。スリや置き引き(混雑した市場、トゥクトゥクの荷物)は起きることがありますが、基本的な注意を守れば問題ないレベルです。メインの現金はホテルのセーフティボックスに、その日使う分だけ財布に入れて出かけるスタイルが賢いです。
Apple Pay / Google Payは使える?
使える場所が増えてきていますが、メインの決済手段としては当てにしない方が無難です。サイアム・パラゴンやセントラルワールドなどの大型モール、チェーンのコンビニ、高級レストランではコンタクトレス決済対応。ただしそれ以外はまだ対応していない店が多いです。あくまでボーナス機能として扱ってください。
旅行中にSIMが急に使えなくなったら?
ほとんどの場合はデータ上限に達した速度制限で、SIM自体の故障ではないです。最寄りのセブンイレブンで電話番号を伝えて100〜200バーツチャージしてもらえば復活します。myAISやTrue iServiceのアプリからもチャージ可能。もし本当にSIMが壊れた場合は、パスポートを持ってキャリアのショップへ(主要な通りにほぼ必ずあります)。無料で交換してもらえます。
タイの電話番号は本当に必要?
絶対に必要というわけではないですが、あると格段に便利です。LineはタイではSMSより普及していて、ホテル・マッサージ店・ツアー会社との連絡もほぼLine。タイの電話番号でLineを登録できると、こうした場面でスムーズに動けます。物理SIMを買えば自動的に番号が付いてきます。eSIMのみだと番号はなし(一般の旅行者はLINE+iMessage+WhatsAppで十分ですが)。
両替レートやフィンテックカードの選択肢をもっと詳しく知りたい方はバンコク両替ガイドをどうぞ。その他のバンコク実用ガイドもぜひ:交通ガイド、タイ語サバイバルフレーズ、チップガイド。


